オヤジたちの修学旅行 その6 ワイプアウト

 

ワイプアウト

 

今回の旅で叶えたい夢がある。それはこれまで味わったことのないチューブライドだ。

それは旅に出る前に、N兄が送ってくれた1本の動画を見てその夢が膨らんでしまった。

フロントサイドでより深く長いチューブを抜けるイメージと、気持ちの上での準備を万全にしていた。

25年前に行ったGランドのロングチューブを超える波に乗ってみたい。

 

これは僕らがいく1週間前の動画だ。

 

この動画を見せてもらった時に心臓の鼓動が早くなり止まらなくなった。怖くて乗りたくてドキドキした。

オフシーズンなのに波が上がる予想!! もしかしたらこの波に乗れるかもしれない。

夢は広がって行く..

 

島について4日後、その時が来た!!

周期は20秒、サイズはどんどん増している!!

ただ当たった場所はライトブレイクだ。動画と正反対のレギュラーのポイント。

しかも「手術台」と呼ばれるサンゴの棚でけが人続出するポイントとして有名なポイント。

 

この波でバックサイドかぁ….

 

全くイメージしていなかった。グーフィーポイントで育った僕は恥ずかしながらバックサイドバレルが超苦手だ。長年先送りして来たその苦手な部分にとうとう向き合わなくてはならない。

 

ただ美しいバレル。完璧だ。素晴らしい。

ショルダー側からイージーな波にタイミングを合わせ、一瞬かぶる程度のチューブはメイクできるものの、僕のスキルではできてもその程度。フロントサイドのようにうまくプルインできない。下手くそすぎて悔しい。

おまけにバックハンドはボードコントロールもプルアウトしずらい。そのためいつの間にかサンゴの上を引きずられ切り傷が増え、必要以上の警戒心がより体を固くさせる。フロントサイドのサーファーしかいないのはそのせいかもしれない。

 

早く慣れたい!慣れてチューブにトライしたい!

より多くの波にトライしようとするがうまくつかめない。トライしていくうちにサイズが上がり、サーファーの数が減り、慣れないうちにどピークのサイクルに入り偶然僕の順番で大きめのセットが入った!

 

よし!!行くしかない!

波は想像以上に掘れ上がり、テイクオフすると壁にへばり付けないままボトムに降ろされてしまった。無理だ。失敗すればサンゴの餌食になるという恐怖心からくる消極的なワイプアウトが災いして、この後数秒間波のトップに持ち上げられてサンゴに顔から叩きつけられてしまった。

運よく顔を守っていた手にサンゴがヒットし顔の怪我は免れたが3箇所の切り傷と打撲と4箇所のボードクラッシュをしてしまった。

あとで写真を見ると、自分のつかんだ波が最高に口を開いた特別なバレルだったことがわかり、思うように乗れなかった自分の不甲斐なさと後悔の念で凹んだ(笑)

悔しい…

今改めてこの写真を見ても悔しさがまた蘇る..

ただこのネガテイブな1つのワイプアウトが、これまで置き去りにしてきた「一つのテーマ」をポジティブに取り組んで行くきっかけになった。そして「楽しむ」ためのトライが始まった。